第一回うどんそばカンファレンスのご報告

  2025年7月5日(土)から7月6日(日)にかけて、第一回うどんそばカンファレンスが開催されました。島根県と香川県の総合診療に関わる医師や、総合診療に興味のある学生、初期研修医が参加し、香川県から18名、島根県から18名、計36名の参加者が集まりました。その後の大交流会やディスカッションでは、「うどんそば戦争」と称した白熱した議論が繰り広げられ、非常に活発な意見交換が行われました。

 隠岐島は今回初めて訪れたのですが、高松から島根県の七類港まで車で約3時間、七類港からチャーター船で約2時間の荒波を乗り越え、ようやく到着しました島根県からの参加者と一緒にこの大変な航海を共にしたことで、連帯感が生まれたように感じました。そのおかげもあってか、香川と島根の参加者がすぐに打ち解け合い、交流がよりスムーズに進んだように思います。

 隠岐島前病院に到着した後、昼食をいただき、すぐにエコーセッションが始まりました。腹部(益田赤十字病院 岡本栄祐先生)、心臓(香川大学医学部附属病院 市来智子教授)、膝関節や正中神経など運動器(島根大学総合診療医センター 白石吉彦先生)のエコーや、エコー下の穿刺練習をグループ内で交代しながら行いました。時間は限られていましたが、実際にエコーを使ってそれぞれの部位を確認できる貴重な体験となり、大変有意義でした。


 その後、宿泊施設の宴会会場で交流会が始まりました。美味しい海鮮料理をいただきながら、同じテーブルの島根の先生とお話をしました。続いて、氏原英敏先生(島根県立中央病院 初期研修医)が司会を務め、参加者の自己紹介が始まりました。予想に反して、自己紹介はただの自己紹介ではなく、「学生」「研修医」「専攻医」「エキシビション」「大将」といった各部門で、自己アピール合戦が繰り広げられました。出場者一人ひとりの個性が際立っており、大交流会は非常に盛り上がりました。

 2日目には、「医学生と研修医が語る島根と香川の総合診療」というセッションが開催されました。香川・島根両県からそれぞれ2名ずつの医学生と研修医が壇上に上がり、各々の意見を交換しました。前半の医学生のセッションでは、香川と島根における医学教育の特徴や違いについての議論が行われました。特に、教養科目のあり方や医学教育を始める時期についての意見が多く出ました。また、「授業の要点が分かりにくい」「専門的すぎる」などの意見もあり、医学教育の課題とその解決策について活発に話し合われました。将来私も教員として教える立場になると思うので、非常に参考になる内容でした。続いて、研修医のセッションでは、総合診療医を専攻する際の不安についてディスカッションが行われました。香川では新専攻医が少なく、キャリアパスが不透明な点が課題として挙げられました。対して島根では、キャリアモデルが多いため不安は少ないものの、それぞれの病院ごとにプログラムが分かれており、プログラム選びが大変などの声がありました。これらの不安に対し、先生方が丁寧に助言をくださり、学生や研修医の総合診療に対する興味が増したり、不安が和らいだりしたのではないかと思います。

 お昼には、香川県から市来先生が持参してくださった藤井製麺のうどんを50人分を、隠岐島前の皆さんがゆでて準備してくださり、サザエや天ぷらと一緒にいただきました。とても美味しく、心温まるひとときでした。

 最後に、隠岐の病院や医療施設を見学した後、隠岐の観光名所である摩天崖へ行きました。自然が作り出した壮大な崖が海にそびえ立ち、その圧巻の景色に感動しました。

 2日間にわたり、島根の学生や先生方と深い交流ができ、さらに隠岐の自然も堪能できた非常に充実した勉強会となりました。今回の企画やたくさんの心温まるおもてなしに感謝申し上げます。来年は香川で第2回が開催される予定ですので、さらに有意義な勉強会となるよう、準備を進めていきたいと思います。(香川大学医学部附属病院 総合診療科専攻医 谷川莉理花)



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