【開催報告】第25回日本プライマリ・ケア連合学会四国ブロック支部地方会、第32回四国地域医学研究会合同学術集会
さる2025年11月15日、16日、高知県立あき総合病院やまのホールにて、合同学術集会が開催されました。この集会は、毎年1回、四国各県が持ち回りで開催され、四国地域の医療従事者が集まり、地域医療の課題について学び、意見交換する場として実施されています。今回も現地参加とオンライン参加を合わせて、1日目は130名、2日目は101名の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました。
1日目のシンポジウムでは「ACPと看取り」をテーマに、特に「教育」に焦点を当てました。メインシンポジストとして、内田 望 先生(埼玉医科大学 国際医療センター 緩和医療科 教授)と森下 幸子 先生(高知県立大学 准教授)を招聘し、お二人から、医学生・看護学生への教育の現状や課題についてご報告いただき、人生の最終段階のケアに関わる人材育成の重要性について多くの学びがありました。また、地域の現場から、釣井民子氏(東部ケアプランセンター 花/ケアマネジャー)が「高知県東部地域における在宅でのACP実践」について、中本雅彦施設長(介護老人保健施設 リゾートヒルやわらぎ)が「施設での看取りの取り組み」を、そして江田雅志 医師(高知県立あき総合病院)に「急性期病院における看取りの実践」についてご発表いただきました。「大学での教育の立場から」お二人の講師の発表が笑いあり、教育現場の苦悩あり参加者を魅了する講演でしたが、現場のお三方の発表も、メインのお二人に勝るとも劣らない熱量のご講演で、聴衆を魅了しました。おかげさまで講演時間が大幅に延長してしまい、参加者との活発な議論が行われたのですが、ディスカッションの時間がわずかになってしまったことをお詫び申し上げます。
また特別講演として、日本プライマリ・ケア連合学会 理事長 草場 鉄周 先生に「日本に求められるプライマリ・ケア」と題してご講演いただきました。草場先生からは、日本の医療が直面する課題や、その中で求められるプライマリ・ケアの役割、今後の展望について、大変示唆に富むお話をいただきました。特に、昨年、厚労省がかかりつけ医機能の法律化で、総合診療専門医の配置数を報告義務が明文化されたことをお話しされ、今後、総合診療専門医のインセンティブが生まれる土壌ができたこと、今後、総合診療がますます必要とされる社会になっていくことを示していただきました。
2日目はポートフォリオ発表、症例報告、研究発表など盛りだくさんの発表でどの発表にも多くの質問や激励の言葉が添えられました。皆様の日頃の経験や研究、現場での葛藤を学会という形で表現、昇華してくださることで、大変内容の濃い学会になりました。やはり学会は一人一人のご発表の質と熱量が全てだなと再認識できました。最後に、このような機会を与えていただきました2つの学会の皆様に、また開催にあたりご協力いただいたすべての関係者の皆様に心より感謝、御礼申し上げます。ありがとうございました。(県立あき総合病院 的場俊)




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