横井徹先生が四国ブロック支部プライマリ・ケア功労賞を受賞されました
日本プライマリ・ケア連合学会は、長年にわたりプライマリ・ケアに従事し、多大な功績のあるものを顕彰するためにブロック支部プライマリ・ケア功労賞を設けています。本学会およびブロック支部の基本理念がそれぞれの地域での真摯なプライマリ・ケア活動にあることを広く知らしめることを目的としています。四国ブロック支部では、2017年から毎年、支部役員から推薦された会員を、支部長、副支部長の投票で選考しています。既定の得票に満たない場合は該当者なしとなることもあります。この度、横井徹先生(香川県高松市 横井内科医院)が受賞され、第25回地方会において授与式をおこないました。
横井先生は、香川TFCを立ち上げ、研修会やメーリングリストを事務局として主導されました。適々斎塾をはじめ、プライマリ・ケア医の生涯教育の礎を築いてこられました。香川大学医学部の学生実習を受け入れるなど、学生教育も熱心に取り組んでおられます。四国ブロック支部の監事としても長年支部運営に貢献いただいております。これらの業績が高く評価されました。横井先生の受賞を心よりお慶び申し上げます。
日本プライマリ・ケア連合学会四国ブロック支部長 阿波谷敏英
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四国ブロック支部プライマリ・ケア功労賞を受賞して
横井内科医院 横井 徹
ブロック支部功労賞授与いただきありがとうございます。表彰会場、高知県立あき総合病院は、62年前亡父が内科医として1年間勤務した病院でもあります。当時私は生後3か月、不思議な縁を感じると共に驚いております。過去の受賞者は長年プライマリ・ケア実践、指導教育に取り組まれてきたレジェンドの皆様ばかり。「実践」があっても「指導教育」実績がない私がなぜ?、と。ただ「医師キャリアの中できることを地道に続けた結果」が評価に値するなら、その規模は別として方向性なら同じか、と勝手に「振り返り」ました。とすれば今回の受賞は私にとって望外の喜びです。
学生最後の夏休みも北アルプス縦走していた私は、卒後キャリアを真剣に考えることなく、ある安易な理由で岡山大学第一内科(現消化器肝臓内科)に入局しましたが、この時点で「プライマリ・ケア」なんて考えること皆無でした。消化器内科医としての未来を考え始めた倉敷中央病院在籍中の卒後4年目、「来月から別病院に腎臓内科医として異動」という「大人の事情による謎の」医局長命令が下った時が、ジェネラリスト転向のターニングポイントだったように思います。膠原病専門医も感染症専門医も不在の異動先病院で年の大きく離れた腎臓専門医の上司と2人体制。「よくわからない経過はまず腎臓の先生に」という周囲から無茶ぶりの日々でした。無茶苦茶だったけど充実感も感じたのは、異動前3年間、今でもメンターとして尊敬する(診療科問わず)複数の指導医、先輩同期後輩研修医の皆さんに助けられなんとか研修を全うした、倉敷での「根拠のない妙な自信」故かもしれません。また腎・血液浄化関連コンサルトのfirst callは常時私、という環境で院内ほぼすべての診療科と関係した結果、他科連携多職種連携の重要性も学べたように思います。結局その病院勤務4年間で「総合内科」に魅力を感じ、卒後8年目過ぎようやく「内科学会認定総合内科専門医」を取得しました。
36歳で父の医院(実家)に戻った際も新たな悩みができました。内科系スキルだけでは無理ということがわかり(当然ですね)、今度はプライマリ・ケア医へキャリアチェンジです。幸いこの時も、勤務医時代「たまたま流れで」加入した家庭医療学研究会(その後の家庭医療学会)、プライマリ・ケア学会や故田坂佳千先生のTFCメーリングリストでの学びが生きました。そして香川在住プライマリ・ケア医の皆様との協働での「TFC香川勉強会」発足です。一人では勉強しない飽きっぽい性格を自覚していた故、周りを巻き込めば都合よく私自身の生涯学習につながるのではなか、というある意味不純な動機もありました。継続のため個人的に参加した全ての総合診療系WS・学会等で講師の先生に挨拶し名刺を配り、「ぜひ今度香川にお越しください。おいしい讃岐うどんでおもてなしします!」とお誘いし続けた結果の10年弱のTFC香川勉強会でしたが、その人的ネットワークは今も「全国に散らばる私の指導医」として日々の臨床での疑問点を解決するために生きています。これは活動開始当初には全く想像していなかった私の宝物です。四国4県のみならず全国から香川にお越しいただいた当時の学生含さん含めすべての皆様、ありがとうございます。
私の「プライマリ・ケア医的」スキルの全ては結局のところ、研修医時代は全ての皆様に、腎臓内科医時代は無茶ぶりで鍛えていただいた皆様に、開業医以後は地元のみならず全国的ネットワークで友人になれた優秀な皆様に助けていただき得られたものです。「場の強制力」によって自らに生涯学習を課した延長に臨床医としての今の私があることを改めて実感し、これまでお世話になった全ての皆様に感謝いたします。
このような行き当たりばったりの生涯学習は効率が悪くお勧めできません。私がこれまで得たスキルのほぼすべては現卒後臨床研修制度における研修医/専攻医の間におそらく習得できます。今の研修医の皆様、総合診療/家初期庭医療専攻医の皆様がうらやましいです。もし医学部卒業前に戻れるなら迷わず卒後3年目からのキャリアを総合診療/家庭医療に決め、その意思がぶれないようメンターの力を借りながらの初期研修の2年間は、将来総合診療/家庭医になったらもう経験しないであろう分野を敢えて選択して学ぶ期間にすると思います。
今回の受賞は、モチベーション維持へ大きな助けになりました。これからは私の置かれた立場で、還暦を過ぎていますので諸活動のサポート役の一人として、四国地域でのプライマリ・ケア/総合診療/家庭医療のフィールドでできることを実践し続けたいと思います。皆様、今後ともよろしくお願いいたします。
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