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総合診療セミナー「ERサバイバル ~unsuspected killer in ER~」

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高知家総合診療専門研修プログラムは(公益社団法人)地域医療振興協会高知県支部との共催で総合診療セミナー「ERサバイバル ~unsuspected killer in ER~」を開催しました。 今回は講師として福井大学医学部附属病院救急科総合診療部の林 寛之先生にお越しいただきました。林先生は救急のレジェンドで、「研修医当直御法度」などの若手医師向けの本を多く書いておられ、様々な医療機関で若手向けのセミナーの講師をされたり、学会でも救急をテーマとしたセッションを行われたりするなど、若手医師の教育に非常に熱心に取り組んでおられ、私自身も今回のセミナーを非常に楽しみにしておりました。また、救急の林先生をお招きするにあたって、高知大学医学部附属病院総合診療部の盛實先生、高知大学医学部災害・救急医療学講座の竹内先生にご支援を頂き、医師・看護師だけでなく、救急救命士等の消防関係の方など幅広い職種の方に参加いただくことが出来ました。 講演は、臨床推論の考え方と、その中でのコミュニケーションの大切さをまずお話しいただいた後に、実際によくある患者さんの訴えとそれに隠れる重大な疾患として「急性心筋梗塞」、「くも膜下出血」、「大動脈解離」を例にお話しいただきました。 いずれも豊富なエビデンスを土台とし、患者さんの訴えの頻度とその特徴、それに対する検査の感度、特異度から、時間経過におけるその感度の変化、教科書で学んできた事と実際に重要視すべき事の違いについて学ぶことが出来ました。その他にもインフルエンザ患者の心筋炎、高齢者のウェルニッケ脳症など「食欲がなくて」や「元気がなくて」というよくある患者さんの訴えの中に潜む見逃してはいけない疾患もお話しいただき、自身の診療を見直す機会となりました。 受講後のアンケート(回答者 34人)では、「セミナーのわかりやすさはどうでしたか」という質問には、大変わかりやすかった 88.2%、わかりやすかった 11.8%、「セミナーの内容は期待したものと一致していましたか?」という質問には、期待以上であった 67.6%、ほぼ期待通りだった 32.4%、と参加者の皆さんの持つ期待に応えることが出来たのではないかと思える結果となりました。自由意見でも「普段の診療の危うさに気付くと同時に、より論文などの文献を見つつ勉強しようと思った。」、「教科書的な診察所見に囚われす...

横井徹先生が四国ブロック支部プライマリ・ケア功労賞を受賞されました

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 日本プライマリ・ケア連合学会は、長年にわたりプライマリ・ケアに従事し、多大な功績のあるものを顕彰するためにブロック支部プライマリ・ケア功労賞を設けています。本学会およびブロック支部の基本理念がそれぞれの地域での真摯なプライマリ・ケア活動にあることを広く知らしめることを目的としています。四国ブロック支部では、2017年から毎年、支部役員から推薦された会員を、支部長、副支部長の投票で選考しています。既定の得票に満たない場合は該当者なしとなることもあります。この度、横井徹先生(香川県高松市 横井内科医院)が受賞され、第25回地方会において授与式をおこないました。  横井先生は、香川TFCを立ち上げ、研修会やメーリングリストを事務局として主導されました。適々斎塾をはじめ、プライマリ・ケア医の生涯教育の礎を築いてこられました。香川大学医学部の学生実習を受け入れるなど、学生教育も熱心に取り組んでおられます。四国ブロック支部の監事としても長年支部運営に貢献いただいております。これらの業績が高く評価されました。横井先生の受賞を心よりお慶び申し上げます。            日本プライマリ・ケア連合学会四国ブロック支部長 阿波谷敏英 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 四国ブロック支部プライマリ・ケア功労賞を受賞して                                 横井内科医院 横井 徹   ブロック支部功労賞授与いただきありがとうございます。表彰会場、高知県立あき総合病院は、62年前亡父が内科医として1年間勤務した病院でもあります。当時私は生後3か月、不思議な縁を感じると共に驚いております。過去の受賞者は長年プライマリ・ケア実践、指導教育に取り組まれてきたレジェンドの皆様ばかり。「実践」があっても「指導教育」実績がない私がなぜ?、と。ただ「医師キャリアの中できることを地道に続けた結果」が評価に値する...

徳島からはじめる「ケアと医療と暮らしの輪」開催報告

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 このたび、「ケアと医療と暮らしの輪」(https://careno-wa.net/)に参加いたしました。会場には、医療・介護・福祉・行政関係者、そして地域の皆さまが集まり、互いの立場を越えて語り合う温かな雰囲気に包まれていました。そこには、「地域の暮らしを共に支える」という共通の思いがあり、まさに“ケアの輪”が広がっていることを実感いたしました。  会の前半では、病院での身体拘束ゼロを目指す取り組みや、「寝たきりにしないリハビリテーション」を通じて、病院が地域の福祉にどのように関わっていくかを学びました。病院の役割を単なる治療の場にとどめず、患者さんの「その人らしい暮らし」へとつなげていく姿勢に、深い感銘を受けました。こうした実践は、地域における医療の在り方そのものを問い直す大切な契機であると感じました。  また、医療的ケア児が社会の中で自らの居場所を持つことの意味や意義について学びました。医療が単に身体を支えるだけでなく、社会参加や生きる力を支援するものであることを改めて実感しました。さらに、ユース世代の孤立を防ぐ取り組みについての報告では、「地域に住んでいても、私たちが目を向けなければ、まるでそこに存在していないように思えてしまう」という言葉が印象的でした。地域に暮らす誰一人として取り残さない。その視点こそが、これからの地域包括ケアの基盤になるのだと感じました。  続いて、鞆の浦・神山町・海陽町の事例を通じて、病院や診療所が地域にどのように溶け込み、住民と共に医療を育んでいるかを学びました。地域の特性に応じて形を変えながらも、そこに共通しているのは「人のつながり」を大切にする姿勢でした。医療は地域に生きる人々との信頼関係の上に成り立つという原点を再確認いたしました。  また、オランダ発の「ポジティヴヘルス」についてのお話では、“健康とは評価ではなく対話のプロセスである”という考え方が紹介されました。数値では測れない「生きる力」や「意味」を共に見つめることが、ケアの実践につながるという視点は非常に示唆に富んでいました。  さらに、地域で活動する医学部生たちの発表も心強いものでした。彼らが地域に入り、人々と関わる中で医師としての志を育んでいる姿には、四国のプライマリケアの未来への希望を感じました。  最後に取り上げられた「Beyond ACP(アドバンス・ケア・プ...

ポートフォリオ発表会 

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  2025年11月16日午前8時30分より、ポートフォリオ発表会が行われました。専攻医の齋藤大地先生(HITO病院)は領域5:「患者中心の医療」、渡部京介先生(徳島健生病院)は領域14b:「倫理的に困難な意思決定を伴う事例のケア」について、それぞれ発表していただきました。司会は原穂高先生(愛媛生協病院)、コメンテーターとして、田尻巧先生(あき総合病院)、稲葉香織先生(徳島大学総合診療医学分野)に参加していただき、ポートフォリオをより深めていけるような質問やコメントをいただきました。発表では、専攻医が患者さんと関わる中での悩みや葛藤を、指導医との振り返りや枠組みを用いながら乗り越え、診療されている様子が感じられました。ルーブリックに沿って押さえるべきポイントを確認し、多職種連携の視点を確認したり、診療中の感情の振り返りを通して、より深く学習が行えたのではないかと思います。ご参加いただいた皆様、大変ありがとうございました。(研修支援委員会 植本真由)

【開催報告】第25回日本プライマリ・ケア連合学会四国ブロック支部地方会、第32回四国地域医学研究会合同学術集会

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さる2025年11月15日、16日、高知県立あき総合病院やまのホールにて、合同学術集会が開催されました。この集会は、毎年1回、四国各県が持ち回りで開催され、四国地域の医療従事者が集まり、地域医療の課題について学び、意見交換する場として実施されています。今回も現地参加とオンライン参加を合わせて、1日目は130名、2日目は101名の方にご参加いただき、盛況のうちに終了しました。 1日目のシンポジウムでは「ACPと看取り」をテーマに、特に「教育」に焦点を当てました。メインシンポジストとして、内田 望 先生(埼玉医科大学 国際医療センター 緩和医療科 教授)と森下 幸子 先生(高知県立大学 准教授)を招聘し、お二人から、医学生・看護学生への教育の現状や課題についてご報告いただき、人生の最終段階のケアに関わる人材育成の重要性について多くの学びがありました。また、地域の現場から、釣井民子氏(東部ケアプランセンター 花/ケアマネジャー)が「高知県東部地域における在宅でのACP実践」について、中本雅彦施設長(介護老人保健施設 リゾートヒルやわらぎ)が「施設での看取りの取り組み」を、そして江田雅志 医師(高知県立あき総合病院)に「急性期病院における看取りの実践」についてご発表いただきました。「大学での教育の立場から」お二人の講師の発表が笑いあり、教育現場の苦悩あり参加者を魅了する講演でしたが、現場のお三方の発表も、メインのお二人に勝るとも劣らない熱量のご講演で、聴衆を魅了しました。おかげさまで講演時間が大幅に延長してしまい、参加者との活発な議論が行われたのですが、ディスカッションの時間がわずかになってしまったことをお詫び申し上げます。 また特別講演として、日本プライマリ・ケア連合学会 理事長 草場 鉄周 先生に「日本に求められるプライマリ・ケア」と題してご講演いただきました。草場先生からは、日本の医療が直面する課題や、その中で求められるプライマリ・ケアの役割、今後の展望について、大変示唆に富むお話をいただきました。特に、昨年、厚労省がかかりつけ医機能の法律化で、総合診療専門医の配置数を報告義務が明文化されたことをお話しされ、今後、総合診療専門医のインセンティブが生まれる土壌ができたこと、今後、総合診療がますます必要とされる社会になっていくことを示していただきました。 2日目はポートフ...

四国ブロック支部地方会スナップ集

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 2025年11月15日(土)、16日(日)、高知県立あき総合病院で四国ブロック支部地方会が開催されました。大会を運営していただきました的場俊先生ほか県立あき総合病院の皆さま、地域医療振興協会の皆さまに厚くお礼申し上げます。(四国ブロック支部長 阿波谷敏英)

8th Sanuki GM Conference “『家族志向のケア』を深めよう”

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 2025年10月25日、香川県立中央病院にて、第8回Sanuki GM Conferenceを開催しました。「『家族志向のケア』を深めよう」をテーマに、岡山県精神科医療センターの田中道徳先生をお招きし、ご講演やグループワークでの学習を行いました。  初めに、家族志向のケアの考え方や基本についてご講演をいただきました。そもそも家族志向のケアとは何か、「システム」や円環的因果律とは、個人のうしろにある“家族システム”を意識し、自分(医療者)も「システム」の一部であることを知り診療に取り組むことなどお話いただきました。  次に、臨床場面を家族アセスメントに繋げる思考の流れを実践する、として、ライフサイクルと境界/サブシステムについて、それぞれ概説後に、症例を用いて個人ワークと4~5名でのグループワークを行いました。グループ毎に様々な視点で意見が出され、一人では思いつかないような家族関係の可能性に気づくことができました。その後の情報収集やアプローチの仕方についても大変勉強になりました。  最後は、総合演習として、実際にプライマリ・ケアの現場で出会うような症例について、どう家族アセスメントし介入していくか、再度グループでディスカッションを行いました。  家族関係の聴取だけでなく、そこからのアセスメントと介入方法について、今後の診療で是非取り組んでみたい、と思う内容でした。(高松平和病院 植本真由先生)