新しい総合診療専門研修プログラムのご紹介
新しくスタートした総合診療専門研修プログラムを照会しています。今回は、海部病院総合診療専門研修プログラムのご紹介です。(事務局)
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海とともに学び、地域とともに育つ ― 海南病院総合診療専門研修プログラム「あまべ総診」
國永直樹(海陽町国民健康保険海南病院)
## 海部郡という地域
海部郡は徳島県の最南端に位置し、徳島県南部Ⅱ医療圏に属しています。古くは『阿波国郡史』にもその名が記されており、令和7年現在は美波町・牟岐町・海陽町の3町で構成されています。
その海陽町に位置する海陽町立海南病院は、徳島県最南端の病院として地域医療の最前線を担っています。当院を基幹施設とする日本専門医機構認定総合診療専門研修プログラム「あまべ総診」は、この海部郡を舞台に、病院の中だけで完結しない総合診療を学ぶことを目指しています。
45床の公立病院である海南病院では、外来診療、病棟診療、救急医療、在宅医療、介護連携、退院支援までを一貫して経験できます。高齢化が進む地域だからこそ、多疾患併存、認知症、ポリファーマシー、人生の最終段階における医療など、総合診療医に求められる幅広い課題に日常的に向き合うことができます。
## 教育体制と広がる学び
近年、当院では教育体制の整備を進めています。2023年5月には地方創生医師団によるシンポジウムを開催し、これを契機に徳島大学地域医療サークルをはじめ、多くの医学生が地域実習に訪れるようになりました。2024年5月からは徳島大学医学部の地域医療実習学生の受け入れを開始し、同年7月には徳島赤十字病院から初期研修医が1か月間の地域研修を行いました。さらに2025年4月からは総合診療専門医が常勤医師として着任し、同年9月には広島市民病院から初期研修医を受け入れました。2026年度には全国から5名の初期研修医を受け入れる予定であり、医学生・初期研修医・専攻医が継続して学べる環境づくりを進めています。
また、全国各地から総合診療医が来訪しており、徳島県最南端という立地にいながら、全国の総合診療医と出会い、学べる環境が生まれています。小規模病院でありながら、地域医療の現場と全国的なネットワークがつながっていることも本プログラムの特徴です。
## 病院の外へ出る総合診療
当院では院内診療だけでなく、病気の予防や健康づくりにも力を入れています。地域の飲食店と連携した「食」の取り組みや、サーフィンやヨガなどの身体活動を通じた健康増進活動を実践し、町民とともに健康について考える機会をつくっています。
私たちが目指しているのは、病気を治療する医療だけではありません。医療・介護・福祉・教育・行政・住民をつなぎながら地域全体の健康を支える「地域つなぎ」です。その結果として、病院だけに依存しない持続可能な医療の実現を目指しています。
また、将来の地域医療を支える人材育成にも力を入れており、医学生や研修医だけでなく、地元高校生を含めた次世代への教育活動にも取り組んでいます。
さらに当院は徳島県の災害拠点病院としてDMATを有しており、南海トラフ巨大地震を見据えた災害医療教育や訓練も行っています。日常診療だけでなく、非常時にも地域医療を守る力を学べることは、「あまべ総診」の大きな特色です。
## 「あまべ」に込めた願い
「海部(あまべ)」という地名には、古代より海とともに生き、広大な海原を越えて交流を重ねてきた人々の歴史が息づいています。私たちは、この地域の名を冠した総合診療専門研修プログラム「あまべ総診」に、海陽町立海南病院を出発点として、全国各地で活躍できる総合診療医へと成長してほしいという願いを込めました。
本プログラムが目指すのは、特定の地域や施設だけで通用する医師の育成ではありません。都市部であっても、地方であっても、離島や中山間地域であっても、その地域に暮らす人々から求められる医療を提供できる総合診療医の育成です。患者さんの病気だけでなく、その背景にある生活や家族、地域社会にも目を向け、多職種と協働しながら地域の課題に向き合う力を養います。
「あまべ総診」は、地域に学び、地域とともに成長しながら、日本のどこでも活躍できる総合診療医を育てるプログラムです。海部の地から、新しい総合診療の未来を切り拓く仲間との出会いを楽しみにしています。


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